コロナ禍でわかった住宅ローンの「適正返済比率」 25%以上の人は要注意 

 
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新型コロナウイルス感染症の影響で、上場していても倒産する企業が出てきました。

大きな企業は倒産しても買い手が現れて再生していくことになりますが、個人はそう簡単に破産できません。

仕事が開店休業状態の人

事実上休業扱いの人

人員整理の対象になった人

残業ができず収入が減った人

休業となり手取りが減った人

など、さまざまいらっしゃると思います。

人が生きていくうえで最も大きな支出となるのが住居費です。

「年収の3割に抑えましょう」と言われている一方で、住宅ローンの審査では年収に対して30%、35%、40%など返済比率という言い方で住宅ローンの支払い余力を査定します。

目次

返済比率とは

返済比率を30%として簡単に説明します。

年収400万円 返済比率30% 

年間返済額120万円(400万円 × 30%) 

毎月返済額10万円(年間返済額 ÷ 12か月)

このように計算されますので、住宅ローンの返済額が毎月10万円、ボーナス併用払いの時は年間120万円以内に収まる金額であれば、希望額の住宅ローンが借りられます

返済比率30%で生活できるのか

ただ、年収400万円の人は月収33.3万円と仮定した場合

健康保険料・介護保険料1万9,822円

厚生年金保険料3万1,110円

所得税額1万1,120円(扶養者なしの場合)

住民税1万7,000円(筆者試算)

となり、手取りは25万3,948円となります。

年収400万円の返済比率30%の場合、毎月返済額は10万円ですから、生活費として残るお金は15万3,948円です。

フラット35の場合、返済比率は35%まで融資に通りますから、毎月返済額は

400万円 × 35% ÷ 12か月で11万6,666円

となります。

返済比率を上げるほど、生活が窮屈になります

金利が後日上昇するタイプであれば、返済額も増えますので、生活が苦しくなるのは目に見えていますが、金融機関はお金を貸します。

たくさん貸せばそれだけ金利収入が得られるからです。

返済比率の適正値は25%なのか

今回、新型コロナウイルス感染症による収入減少者のために、住宅金融支援機構(以下、機構)は融資条件の見直しを打ち出しました。

これは希望する人かつ条件に合う人の返済額を減らしたり、一部の支払いを先送りできるものです。

そこで出てきた条件の1つが、住宅ローンの返済比率が25%以上の人です。

住宅ローン審査では返済比率25%であれば審査は余裕で通るでしょう。

しかし、上述したように、審査上の返済比率一杯でお金を借りると生活が苦しくなります。

今回、機構が対策を打ち出したことで、図らずも返済比率25%を超えると生活が苦しくなるということを貸し手側として認知しているとも考えられます。
 
今まさに住宅ローンを借りようとしている方は、ご自身の手取りと住宅ローンの支払額の差額で生活が回っていくかを確認されることをお勧めいたします。