筆者は、約8年間、金融機関で働いていました。
その間に学んだことは、
住宅ローンや500万円を超えるマイカーローンなど金額の大きなローンは、原則「固定金利のベタ払い」が正解
いうことです。
消費者金融や闇金に手を出す人の多くの原因は、ローンの契約内容
そこで今回は、
・「固定金利のベタ払いとは何か」
・ 避けたほうがよいローンの契約内容
について説明します。
目次
- 「固定金利のベタ払い」とは
- 景気のサイクルと金利
- 「ベタ払いが正解」の理由
- 実情を知る業界人の契約方法
- 借入金額や稼ぎによって考える
- 「繰り上げ返済」で利息を減らすのが賢明
- 契約時に注意すべきこと
- 正しい選択で家計崩壊を防ぐ
「固定金利のベタ払い」とは
「固定金利」 → 金利が固定されて変わらない
「変動金利」 → 非常に簡単に説明すると、世の中の景気に左右されて動く金利のことです。
「ベタ払い」 → ボーナス払いなどをせず、毎月毎月同じ金額で返済していく返済方法のことを言います。
「固定金利のベタ払い」とは、固定された金利で、毎月同じ金額を返済していくことです。
景気のサイクルと金利
借入金金利や返済は景気の影響を大きく受けます。
不景気は突然やってくる
「コロナショック」のように、世の中の景気を左右する大きな出来事は突然にやってきます。
また「オリンピック」や「万博」などが決まると「景気がよくなる」と予想されることが多くなります。
景気が急降下するような出来事は、感染症や伝染病の世界的な大流行「パンデミック」や連鎖的な金融危機が原因の場合がほとんどです。
不景気が引き起こすこと
・ ボーナス減やカット
・ 残業の制限
・ 給料が減る
・ 退社勧告
・ リストラ
突然に予想もしなかったような生活環境に置かれることも少なくありません。
コロナショックが起きて生活環境が一気に変わったという人も多いと思います。
今回はパンデミックということもあり、リーマンショックの時よりも経済的に大きな打撃を受けるのではないかと言われています。
景気を予測することはなかなか難しいのですが、返済期間が長いローンの場合には、
景気が悪くなるような状況を想定して借入するのが原則
です。
景気には「サイクル」があります。
バブル崩壊:
1991年
リーマンショック:
2008年
コロナショック:
2020年
長期でローンを組む場合には、この景気のサイクルが「何度も訪れる」と考えるのが自然なのです。
好景気においては金利が高くなる
景気がよくなると金利も高くなります。
住宅ローンや500万円を超えるマイカーローンなど金額の大きなローンを契約する際には「固定金利のベタ払い」が原則ですが、好景気時に契約する場合には注意が必要です。
好景気時に固定金利で契約すると高金利のままローンの返済を続けることになり、損をする可能性が高くなります。
借入金額が大きくなればなるほど金利も大きくなるので、よく考えて契約しましょう。
一般的には、
【契約日よりも景気がよくなると予想される場合】
それ以上金利が上がらないように固定金利で契約する
【契約日よりも不景気になると予想される場合】
低い金利を適応できるよう、変動金利または、最初は固定金利で数年後に変動金利も選択できるような契約をする
というのがおすすめです。
「ベタ払いが正解」の理由
ボーナスというのは会社が好調なときに支払ういわば「おまけ」のようなものであり、景気が悪くなれば大幅に減額されたりカットされたりすることは言うまでもありません。
不景気になって最初に影響が出るのは、ボーナスと言えるのです。
ボーナスが大幅に減額、カットされると、金額の決まっている月々のローン支払いもしながらボーナス支払い分を準備することは不可能に近いというのが現実です。
そのため、「ボーナス払い」を避け、月々決まった金額を支払う「ベタ払い」にしたほうが無難だと言えるのです。
給料が上がっていく保証はない
ローン契約時に「給料は年々上がっていくから」などといまだに年功序列の制度を信じて疑わない人もいますが、もはやそのような時代ではありません。
実力に応じて給料が支払われることも増えていますし、会社に貢献できなければそれに見合っただけの給料しかもらえないということも多くなっています。
また、世界情勢などによって給料が上がりにくくなることもあります。
このように、いろいろなことを想定してローンを契約する時点で無理なく支払える金額を月々の支払金額に設定することをおすすめします。
景気の実感には時差がある
筆者の勤務先にはバブルの崩壊が原因で住宅ローンを支払えずにお金を借りに来る人がたくさんいました。
1990年以降には株が下がり続けていたにも拘らず、1993年頃までバブル気分が抜けずに失敗したという人も多くいました。
景気がよくなっているという実感も、悪くなっているという実感もしばらくしてから感じられることが多いというのも怖さのひとつです。
実際に、バブル崩壊後の数年間は蓄えを切り崩して生活を守っていた人たちが、それ以降に借金をして5~10年後に破産するというケースは多くあったのです。
実情を知る業界人の契約方法
バブル崩壊後に金融機関で働いた経験があり、債務者と融資について話し合うなどの関わりがあった人であれば、「変動金利」や「ボーナス払い」の契約の怖さを知っています。
そのため、金額の大きなローンを組む際には「固定金利のベタ払い」で契約している人が多いようです。
金融機関が変動金利・ボーナス払い併用商品をすすめる背景
ではなぜ、銀行などは「変動金利」や「ボーナス払い」が条件であるローン商品を積極的に説明するのでしょうか。
ほとんどの場合において銀行やローン会社の人たちは、わざわざお客様を困らせようとして変動金利やボーナス払いが条件の商品をすすめているわけではありません。
客である私たちが、「安い金利」で「支払う利息が少ない」商品を紹介してくれる営業マンを「誠実」や「親切」だと思い込む傾向にあるからです。
また、ローンを組む際には、景気のサイクルや不景気が突然やってくるというリスクについて、それほど深刻に考えていないというのが実際のところです。
そのため、変動金利のように「安い金利」のほうがお得だと感じてしまい、お得なプランを紹介してくれる営業マンを誠意のある親切な人だと思い込む傾向があるようです。
そうした積み重ねから、どうしても「金利の安い商品」や「ボーナス払いを組み込んであるからこそ返済期間が短く支払う利息の少ない商品」を提案することが多いようです。
借入金額や稼ぎによって考える
借入金額が少なく、毎月の支払金額をお小遣い感覚で支払える場合、資産があって確実に短期間で返済できる場合には「固定金利のベタ払い」にこだわる必要はありません。
このような場合には、金利の安い商品を選択したほうがお得なこともあるのです。
自分自身の
・ 収入
・ ライフスタイル
・ 借入金額
・ 月々の支払金額
・ 資産状況
と照らし合わせてよく検討してください。
「繰り上げ返済」で利息を減らすのが賢明
変動金利やボーナス払いを条件とした内容で契約して最後まで上手に支払い終えた場合には、最終的に支払う利息は「固定金利のベタ払い」よりもかなり少なくなります。
しかしながら、景気のサイクルなどに左右されることも多いため、
「固定金利のベタ払い」で契約しておき、繰り上げ返済する
のがおすすめです。
「繰り上げ返済」とは
非常に簡単に言うと、「繰り上げ返済」とは通常の月々の支払金とは別にまとまったお金を入金することを言います。
繰り上げ返済で支払う利息を減らす、返済期間を短くすることができます。
また、場合によっては、繰り上げ返済後に契約を更新して、毎月の支払金額を減らすことも可能です。
「繰り上げ返済」する際の注意点
もうすでにローンを組んでいて、これから繰り上げ返済をしようと考えている人は、まずは次のことについて確認しておきましょう。
・ 手数料は必要か
・ 金額によって手数料が不要になることはないか
・ いくらから繰り上げ返済ができるのか
・ 年に何回までであれば手数料が無料になるのか
繰り上げ返済をするのに手数料がかかる場合には、タイミングや入金回数をよく考えてから入金するようにしましょう。
契約時に注意すべきこと
「繰り上げ返済をしよう」と考えているのであれば、検討している商品の次の点についてローンを組む前に確認しておきましょう。
・ 繰り上げ返済に手数料はかかるのか
・ 金額によって手数料が必要な場合には、いくらから手数料が不要か
・ いくらから繰り上げ返済ができるのか
・ 年に何回までであれば手数料が無料になるのか
繰り上げ返済をするたびに高額の手数料がかかる場合には、違う商品がないかを尋ねてみましょう。
手数料が無料であれば頻繁に繰り上げ返済できるので、ムダ使いの防止にもなります。
正しい選択で家計崩壊を防ぐ
景気にはサイクルがあり、不景気は突然やってきます。
そのため、住宅ローンや500万円を超えるマイカーローンといった金額が大きくて返済期間の長いローンを組む際には「固定金利のベタ払い」が原則です。
原則の理由や例外も参考にしながら、後悔の少ない契約を選択してください。