民間の医療保険については、
「公的医療保険制度があるから加入する必要はない」
「公的医療保険制度対象外の出費や収入減に備えて加入した方がよい」
という相反する意見があります。
では、実際に民間の医療保険に加入している人・いない人は、それぞれどのような理由で決断しているのでしょうか。
いろいろと聞いた結果を紹介します。
目次
民間の医療保険に加入している人の理由
子供や、自身が民間の医療保険に加入している人の理由を紹介します。
子供に医療保険を掛けている理由
Aさん:自分が子供の頃、親が自分に医療保険を掛けてくれていたので、そういうものだと思っている。
Bさん:保険料の負担感より保険に入っているという安心感の方が大きいから(子供は保険料が安いから)。
Cさん:運動部に入っているので、ケガに備えて。
Dさん:子供がケガや病気をした時に十分な治療を受けさせてあげられるように。
Eさん:子供の医療費は市の助成(18才の3月31日まで)があるので無料だが、子供が入院や手術をすると親が仕事を休むことになって収入が減ったり、医療費以外の出費がかさんだりすると思うから。
Cさんは、手術や入院もありますが、生命保険会社の医療保険では、入院を伴わない通院は保障がないことから、共済に加入していました。
「保険料より多くの給付金をもらう年もある。運動部に入っていなくても子供にケガはつきものだから、共済はおすすめ!」
と、Cさんは言っていました。
自分に医療保険を掛けている理由
Fさん:保険外交員にすすめられ、社会人になったら入るものだと思って。
Jさん:自分が入院した時、お金の負担を家族に掛けたくないから(家族の要望もあり)。
Hさん:差額ベッド代など公的保険適用外の出費や収入減に備えて。
Iさん:結婚するので出産に備えて。
Fさんのような人は、保障内容も保険外交員の言うがままに加入してしまう傾向にあります。
お客様に合った保険というより外交員に都合のよい(お給料が高くなる)保険になる可能性があります。
保険選びは時間をとって主体的に臨まなくてはなりません。
Hさんの加入理由に対し、「本当にそのような備えが必要なのか、備えるとしたらどの位の保障が必要なのか」と疑問をもたれら人には、以下の記事もご参考になると考えます。
【関連記事】:【入院・手術の自己負担額】医療保険に加入「してる」「してない」 それぞれの場合で金額を試算
Iさんのタイミングは良い考えだと思います。
出産の際にはどのような事態が起きるか分かりません。
自然分娩は病気ではないので公的・民間ともに医療保険の対象外ですが、最近の保険は帝王切開のみならず鉗子分娩や吸引分娩なども保障対象になりました。
また妊娠中にも、どのような理由で入院が必要になるかわかりませんので、結婚や出産をきっかけにするのはいいと思います。
民間の医療保険に加入していない人の理由
子供に医療保険をかけていない理由
子供に医療保険を掛けていない親の理由は、自治体の助成があり医療費負担が0円だからというものがほとんどでした。
しかし、そういったお子さんにも、以下のような例がありました。
・ 傷害保険には加入している。
・ 悪性新生物(がん)などの大病をした時に大きな一時金を受取れる保険には加入している。
この考え方は、加入理由の
Cさん:運動部に入っているので、ケガに備えて。
Dさん:子供がケガや病気をした時に十分な治療を受けさせてあげられるように。
に通じるものです。
お子さんの悪性新生物の現状については、以下のようなデータがあります。
自分に傷害保険を掛けている理由
意見1:自分がケガや病気で入院・手術をするとは思えないから。
意見2:公的医療保険や傷病手当金があるから。医療費が高額になっても、高額療養費制度があるから。
意見3:大きな終身保険(一生涯の死亡保険)に入っているので、もし入院や手術をしたら終身保険を少しずつ解約して、解約返戻金を医療費に充てるつもりでいるから。
意見2 のような考え方の注意点
前章の通り、
「公的医療保険適用外の費用は意外とかさむ」
「それらの費用は高額療養費制度の対象にならない」
この2つを忘れないようにしてください。
また、国民健康保険には傷病手当金の制度がないことにご留意ください。
「自分がケガや病気で入院・手術をするとは思えない」
「大きな終身保険(一生涯の死亡保険)に入っているので、もし入院や手術をしたら終身保険を少しずつ解約して、解約返戻金を医療費に充てるつもり」
という意見1 や3 の方の中にも、お子さんのケース同様、診断確定で大きな一時金が受け取れるがん保険や三大疾病の保険に加入している人はいました。
意見3について
大きな終身保険(一生涯の死亡保険)に入っているので、もし入院や手術をしたら終身保険を少しずつ解約して、解約返戻金を医療費に充てるつもりでいるから
この考え方の根底には意見1・2があるので、
「保険料掛け捨ての多い医療保険に加入するのは保険料の無駄」
といううえで、「それでも備えは重要」と考えた結果だと思います。
病気になれば死亡保険金は少ししか遺せないけれど、健康だったらたくさん遺せるという考えです。
また、健康だったら一部を年金受取りに変更することも視野にあるようでしたが、個人年金保険にも加入していました。
終身保険をこのように活用するための注意点
早くに解約返戻金が累計保険料を上回る返戻率の高いものを選ぶ
ことが望ましいと言えます。
解約返戻金が支払った保険料を下回ったとしても、それは死亡保険の保険料だと考えることはできますが、その金額が医療保険の保険料より大きくなる可能性は大いにあります。
とはいえこれから加入する場合、そのような終身保険はほぼありません。
「低解約返戻金型終身保険がいいのでは?」
と思う人もいるかもしれませんが、低解約返戻金型終身保険は、保険料を短期間で払い終えても保険料を長い期間支払う場合より累計保険料が高くなったり、解約返戻金が保険料払込期間の長短に関係なく一定であったりします。
従って、
低解約返戻金型終身保険は解約返戻金目当ての活用には不向きである
と考えます。
【関連記事】:学資保険代わりの「低解約返戻金型終身保険」 短期払いで保険料総額アップの落とし穴
保険料が割安になっていることに鑑みても、低解約返戻金型終身保険はあくまで死亡保障として活用することをおすすめします。
「傷害保険」の補償範囲
傷害保険にのみ加入している人もいましたので、傷害保険について少しご説明します
傷害保険は損害保険会社(自動車保険や火災保険などを扱う会社)が販売する1年更新の保険です。
通院のみならず、入院・手術・死亡・障害が残った場合なども補償してくれ、保険料も手ごろです。
生命保険会社の保険外交員も扱っていますので、「傷害保険に入りたい」と伝えれば手続きをしてくれます。
以下は三井住友海上の傷害保険ですが、補償内容、保険金額や保険料、オプション等は保険会社によって異なります。
加齢とともにケガや病気のリスクも高まる
さて、ケガや病気のリスクは加齢とともに高まります。
今では持病があっても加入できる医療保険がありますが、その種の保険の保険料は健康な人よりも高額で、付けられない保障も出てきます。
医療保険が必要かどうかを悩んでいる人は、こちらの記事も参考にしてみてください。