自動車保険の勉強をしていたころ、補償範囲について、
「そうかぁ、ザッと読むだけではわからないな」
と思うことがいくつかありました。
今回はそういった、自動車保険の補償範囲で「誤解が生じやすい4つの内容」について詳述します。
目次
1.「同居の家族」とは
多くの人が自動車保険とセットで加入していると思われる補償、例えば、
・ 人身傷害保険
・ 個人賠償責任特約
・ 弁護士費用特約
などは、1台の自動車保険に付けておけば、記名被保険者(契約車両を主に運転する者)の同居の家族全員が補償されます。
「同居の家族」とは、記名被保険者の、
・配偶者
・同居の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)
・別居の未婚の子
を指しますが、ここで注意すべきことは以下の3点です。
配偶者
事実婚の相手も該当します。
同居
生計が同一でなくても、扶養関係がなくても、同じ家屋(「はなれ」などを含む)に住んでいれば同居の家族に含まれます。
未婚の子
「未婚」とは1回も結婚していないことを言いますので、独身でも離婚歴のあるお子さんは含まれません。
したがって、そのお子さんが別居していれば補償対象外です。
同居なら、結婚歴の有無に関係なく補償対象です。
2.「契約の車以外の自動車」とは
人身傷害保険は、自分自身や同乗者が事故でケガをした場合の治療費から、後遺障害・死亡・働けない間の収入なども補償する保険です。
この保険は、補償する事故の範囲を選択します。
範囲として、「契約の車以外の自動車に搭乗中の事故」というのがあります。
この「契約の車以外の自動車」に、以下の人が所有および主に使用する自動車は含まれません。
・ 記名被保険者の配偶者
・ 同居の親族
・ 別居の未婚の子
自分の人身傷害保険では補償されない例
では、
・ 私が、配偶者の車に搭乗中に事故で負傷
・ 私の人身傷害保険は「契約の車以外の自動車に搭乗中の事故」も補償
このときの補償はどうなるでしょうか。
ここが少しややこしい点だと思いますが、この場合私は、私の人身傷害保険では補償されません。
配偶者の車は「契約の車以外の自動車」に含まれないからです。
補償してくれるのは、配偶者の自動車保険です。
ただしその保険に、人身傷害保険や搭乗者傷害保険など、搭乗者に対する保険が付いていない場合は補償されません。
3. 対物賠償保険・対人賠償保険の補償範囲
対物賠償保険では、以下の人が所有・使用・管理する財物に対する賠償責任は補償対象外です。
・ 記名被保険者
・ 被保険自動車を運転中の者またはその父母、配偶者または子
・ 被保険者またはその父母、配偶者または子
対人賠償保険では、上記の人の他に、以下の人に対する賠償責任も補償対象外です。
・ 被保険者の業務(家事を除く)に従事中の使用人
これらの保険は、あくまで他人に対する損害賠償責任を補償するものです。
4.「当て逃げ」が補償されない場合
車両保険には、
・ 一般補償:ほとんどの事故を補償する
・ 限定補償:補償範囲が限定される
があり、「限定補償」では当て逃げは補償されません。
当て逃げも補償する「10補償限定」などもありますが、要は、
・ 相手車両のナンバー
・ その運転者か所有者が確認できない場合
は補償対象外ということです。
補償内容の正確な理解が大切
誤解しやすい補償範囲について解説しました。
いざといういうとき困らないように、ご自身の補償内容を確認してみてください。