自動車保険の被保険者を意識して加入している人は意外と少なく、世帯主名義の家庭が大半です。
特に、免許証を取得した未成年の子どもがいる家庭では、子どもが保険料をいきなり支払うことは少ないのが現状です。
この点から、保険契約者や被保険者を親にしているのですが、あるきっかけで予測していない事態が起き相談にのることがあります。
今回は保険料を抑えると同時に、しっかり補償してもらうためにも大切な、「被保険者変更」について解説していきます。
目次
「家族限定」で補償されない落とし穴がある
自動車保険は、補償する人の範囲を決められます。
・ 本人夫婦限定
・ 家族限定
・ 本人限定
・ 限定なし
主なものはこの4つです。
本人夫婦限定は、被保険者とその配偶者に限られます。
本人夫婦限定などは、名前の通りなので範囲が分かりやすいのですが、注意しておくべき補償の範囲は「家族限定」です。
「家族限定」では補償対象外となる危険もある
家族というと、父母と子ども、それに加えて祖父祖母のイメージがあります。
しかし、自動車保険での家族とは、
同居している親族と未婚の別居の子ども
を指すのです。
家族限定をつけると保険料は確かに安くなりますが、この点を勘違いすると事故を起こした時に補償の対象外となり大金を支払わなければならない場合も出てくるのです。
実際に相談された事例
ここで、自動車保険について相談された事案を紹介します。
「娘が事故を起こし、保険会社に連絡をしました。
娘の自動車保険は、父親名義で家族限定をつけています。
幸い小さな事故で済みましたが、娘は補償対象外と言われたのです」
娘さんが補償対象外になった理由として、半年前に結婚をして近くのマンションに住んでいたことが挙げられました。
確かにお父さまからすれば、実の娘で家族です。
しかし、自動車保険の規則では、娘さんは別居の親族であり家族限定に該当しません。
「被保険者の変更」が節約のポイント
この事態を回避するためにしなければならなかったことは、「被保険者の変更」です。
結婚する前に、結婚して家を出ることを保険会社に報告し、被保険者を変更してもらえば、被保険者は娘さんに変わり補償対象外となることありませんでした。
この事例の場合、娘さんは新規で保険に加入しなければならず、今まであった保険料の割引が適用されません。
2,000ccの乗用車に娘さんが乗っているとしましょう。
娘さんの結婚前は、車両保険100万円と賠償保険を父親の自動車保険20等級で加入しているので、保険料は月々7,500円ほどでした。
しかし、結婚して別居した娘さんに自動車保険を継承していなかったため、娘さんは同条件の自動車保険に加入することになり、6等級で月々1万8,000円ほど支払うことになったのです。
同じ自動車でありながら同じ補償を受けるための保険料が高くなるのでは、節約とはいえません。
同居しているうちに被保険者を変更しておけば、娘さんは高い保険料を支払う必要もなく、貯蓄に回すことも可能だったのです。
生活環境の変化に応じて自動車保険も見直す
割引で多少の差はありますが、家族限定をつけると保険料の差が1万円強となる場合もあります。
節約のためには限定をつけておくというのも1つの案です。
しかし、安いという理由だけで限定をつけて自動車保険に加入すると後々困ることもあるため、次のような場合は運転者の限定に注意が必要です。
・ 子どもが結婚をして家を出た
・ 家族ではない人が運転をすることがある
・ 単身赴任で別居している
・ 同じ敷地内ではあるが、家は別の家族がいる
もし事故が起きても、補償対象外ということになれば、保険金を自腹で払うことになるだけではなく、新規で加入しなければ補償が受けられない事態を招いてしまうおそれもでてきます。
自分たちの生活環境に応じて早めの対策をとっていくことが、自動車保険を節約でき、なおかつ安定した補償を得られるための手法です。