生命保険で資金調達「契約者貸付制度」 メリットと借りたあとの注意点

 
Watch And Download This Video

新型コロナウイルスの影響で、資金繰りに影響が出ているご家庭が増えています。

一時的な融資としては、公的な助成金制度やキャッシングなどが考えられますが、審査があったり、金利が高かったりと、利用をためらう方も多いようです。

終身保険や養老保険などに加入している方の場合は、「契約者貸付」という制度を利用する、という方法があります

契約者貸付には、

・ 審査・保証人不要

・ 借りるのも返すのもあまり手間がかからない

・ 現在は金利が0%

といったメリットがあります。

今回は、保険会社の「契約者貸付制度」について解説します。

目次

契約者貸付とは

契約者貸付とは、解約返戻金を担保にして、契約している保険会社からお金を借りる仕組みのことです。

解約返戻金とは、保険契約を解約したときに保険契約者に対して払い戻されるお金のことで、終身保険や養老保険、学資保険や個人年金保険などに設定されています。

利用できる金額は、解約返戻金の7~8割というのが一般的です。

掛け捨てタイプの定期保険など、解約返戻金の設定がない保険では、基本的に契約者貸付は利用できません。

契約者貸付のメリット

契約者貸付を利用するメリットは、主に次の4つです。

メリット1. 審査不要

契約者貸付の利用には、基本的に審査は不要です。

保証人もいりませんし、使い道に制限もありません。

電話やオンラインで申し込める保険会社も多く、助成金やキャッシングの申込みに比べると、手続きが簡単です。

また審査がないことから、2日~1週間程度でスピーディに貸付を受けられます。

メリット2. 今は金利が0%

新型コロナウイルスの影響で、多くの保険会社が通常3~8%程度の契約者貸付金利を、2020年9月末までをめどに0%としています。

0%で借りられる期間や申込可能期間、借りられる金額は保険会社によって異なるため、詳細についてはご自身が加入している保険会社に確認してみてください。

メリット3. 返済手段が豊富

契約者貸付では、一般的に一定額を毎月決められた日に返済する必要はありません。

一括返済、定期的に分割返済、余裕ができたときに都度返済など、家計の状況にあわせて対応できます。

返済方法も、窓口での支払いのほか、ATMからの振込に対応している会社が多数あります。

メリット4. 保険契約は継続できる

契約者貸付を利用しても、保険契約は継続できます

保険そのものを解約してしまうと、それまでの解約返戻金は戻ってきますが、

・ 保障がなくなる

・ 元本割れする可能性が高い

といったデメリットがあります。

「一時的にしのげればなんとかなる」という状況であれば、保険を解約してしまうより、契約者貸付で乗り切り、満期まで継続した方がお得なことが多いでしょう。

注意点

一方で、契約者貸付には次のような注意点があります。

注意1. 返済しないと保険が失効する

9月末までは金利を0%としている保険会社が多いのですが、その後も返済せずにいれば当然利子が増えます。

契約者貸付の場合、利子は毎年元金に繰り入れられ、元利金は年々膨らみます。

そして借入残高が解約返戻金の額を超えてしまうと、保険契約が失効するおそれがあります。

借りっぱなしにならないよう、注意が必要です。

注意2. 借入金が保険金と相殺される

契約者貸付は、「保険金の前借り」にも似た制度です。

そのため、契約者貸付制度の利用中に、保険金が支払われる事態が生じると、本来受け取れる保険金の額から、借りているお金の分と利子が差し引かれる場合があります。

保障が必要になったとき、予定していた金額が受け取れなくなるので、その点も注意しておきましょう。

利用は計画的に

審査不要で使用目的も問われない契約者貸付は、便利な制度ではあります。

特に金利が0%であれば、うまく活用できれば、資産を大きく毀損せずに今を乗り切れるでしょう。

ただし、これはあくまでも一時的な貸付制度です。

可能であれば金利が0%のうちに、あるいは早期に返済できる見込みを立ててから利用するようにしましょう。